<ギャンブルに潜む罠 その3-5> 人間はギャンブルに負けてもハイになれる

以前の記事で、ギャンブル依存症に陥る原因の一つとして、ドーパミンの分泌異常を挙げました。ギャンブル依存症の私たちにとっては、ギャンブルから得られるドーパミンの快楽が他の行為よりも突出してしまっている為、異常な頻度で次の行為にギャンブルを選択してしまうという話です。

長期増強現象「間欠的強化現象」の記事に引き続き、我々ギャンブル依存症の人間が何故ギャンブルでそれほど大きな快楽を味わってしまうのかを解説します。

 

 

【人間がギャンブルで大きな快楽を味わってしまう理由その3】
生物は、行為の報酬自体でなく報酬の予告にも快楽を覚えてしまいます。
パチンコで例えるなら、大当たり自体でなく、激熱演出や群予告等でもドーパミンが分泌されてしまうということです。
競馬でも自分の馬が第三コーナーで3番手までにつけていると、その後の勝敗が決まる前に途端にハイになって大声を出してしまった経験は、誰にでもあるのではないでしょうか?

 

 

こうした生物の特性はケンブリッジ大学のヴォルフラムシュルツ氏による実験で証明されました。
この実験はサルにギャンブルを疑似体験させ、脳に埋め込まれた電極で反応を観察するというものでした。

 

 

何種類かの色の光を2秒間つけて、その光が消えるのを合図に、猿に甘いシロップを与えることを繰り返し学習させます。赤と緑の光を不規則に点け、緑のランプの時だけに2秒後にシロップを与え、赤のランプでは何も与えないのです。
すると初めのうち猿の脳内では、シロップをもらったタイミングで報酬系が活性化していたのですが、
繰り返し学習するにつれ、シロップを渡す前、緑の光が点いた時点でも、ドーパミン神経が反応するようになります。

 

 

この実験から分かるのは、利益そのものでなく、利益の予告自体にも生物の報酬系が反応しドーパミンが分泌されるということです。
私たちギャンブル依存症が、パチンコ画面の中の予告や競馬場のパドック・レース展開に熱くなるのは、
過去のゲームの繰り返しからその予告の期待値を学習している為に、
勝敗に関わらず予告自体に興奮できるようになってしまっているからなのです。

 

 

そうなってしまえばギャンブルの胴元は、私たちプレイヤーに勝ち金を配分しなくても、ドーパミンで飼い殺しにすることが簡単にできるのです。
惜しい演出や展開を適度に見せてやるだけで、報酬を余り返してやらなくてもギャンブルに通い続ける依存症を作り上げることは簡単です。

 

 

【人間がギャンブルで大きな快楽を味わってしまう理由その4】

予想外の報酬はドーパミン神経をより活性化させる。

先ほどの実験の余談になりますが、シロップがもらえないはずの赤のランプでイレギュラーにシロップを与えてやると、サルの脳内で大量のドーパミンが分泌されるということも分かっています。競馬の穴馬が最終コーナーから突然差し切ってしまったり、パチンコの当たらない筈の回転で突然大当たり確定するとき、脳の中はドーパミンのお祭り騒ぎになってしまうわけです。
私もそういった予測していなかったラッキーに恵まれると、夜寝る前にその光景がフラッシュバックして眠れないことがよくありました。そうした強烈な快楽体験は我々に少しばかりの金銭を与えてくれますが、その代わりにギャンブルへの依存度合をグっと高めてしまうのです。

 

 

【人間がギャンブルで大きな快楽を味わってしまう理由その5】
予告から報酬までの時間を空けると、その興奮度合を加速的に高めることができる。
また前述の実験の続きになりますが、ヴォルフラムシュルツ氏は緑と赤の光に加え、特殊な青の光を使って実験を続けています。この光は20秒後に50パーセントの確率でシロップが貰えるという、我々が行うギャンブルに非常に近いルールで点灯します。
このランプのルールを学習した猿の脳内では、青の光がついた直後に脳の小さな活動が起こり、
シロップを貰えるまでの20秒間にどんどん活発になっていくという特殊な反応が見られました。
昨日の記事で、生物が確実な報酬よりも、不確実な報酬を好むことという話をしましたので、
50パーセントの確率の報酬にサルが惹きつけられるのは驚くべきところではありません。
しかしこの報酬を与えるまでの間に20秒間という時間を設けることで、サルの興奮度合がどんどん大きくなってしまう現象は、我々ギャンブル依存症なら確実に心当たりのある経験だと思います。

 

 

パチンコで当たりが期待できる時の予告・リーチ演出は一分間以上かかるものがざらです。
競馬のレースも一分以上の時間をかけて決着しますが、その時間がギャンブラーの脳の中の興奮を過剰に高めるスパイスになっているのです。

私たちギャンブラーが、リーチやレースの終盤になるにつれ次第に興奮し、決着の一瞬前にジェットコースターにのっているような高揚感を味わうのは、この時間というスパイスの所為だったのです。

 

 

【まとめ】

本日はギャンブルに潜む、私たちの興奮を過剰に高める罠を三つ紹介しました。

報酬の予告、予想外の報酬、報酬までの時間、この三つを非常に緻密に上手く使うことで、ギャンブルは私たちを「過剰に」楽しませるように設計されているのです。

こうした事実から私たちギャンブル依存症が学ぶべきは、自分はギャンブルに対して完全に無力であることを認めることだと思います。

ギャンブルというものは、初めから緻密な学問に基づき設計され、人間を嗜癖行動に走らせるように作られているのです。

「私だけは絶対に大丈夫」という自信を捨て、自分は絶対にギャンブルをコントロールできない、ということを心の底から認めることが、依存症回復の第一歩になるのはないでしょうか。

 

 

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この記事の投稿者 杉山友作

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